夕空に背のび

夕空に背伸び

特技はフットワークの軽さの(24)。読書と旅行と音楽と写真が好きです。主に東海・近畿をうろちょろしています。

彩瀬まる『あのひとは蜘蛛を潰せない』を読んだ。 ちゃんとした、とか、みっともないってなんなんだろう。

いい子ちゃんの私には胸にぶわーってくるものがありまして、読むのしんどくて痛かったです。

いつにもまして脈絡もない、正直な感想文になりました。

 

 

あらすじ

ドラッグストア店長の梨枝は、28歳になる今も実家暮し。ある日、バイトの大学生と恋に落ち、ついに家を出た。が、母の「みっともない女になるな」という“正しさ”が呪縛のように付き纏(まと)う。突然消えたパート男性、鎮痛剤依存の女性客、ネットに縋る義姉、そして梨枝もまた、かわいそうな自分を抱え、それでも日々を生きていく。ひとの弱さもずるさも優しさも、余さず掬う長編小説。

彩瀬まる 『あのひとは蜘蛛を潰せない』 | 新潮社

 

 

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)

 

 

つらつらと感想 ちゃんとしたい自分と窮屈な心

ちゃんとした、とかみっともないってなんなんだろう。

誰になれば、ちゃんとできるんだろう。何をクリアしたら、もういいよって認めてもらえるのだろう。

そんなの誰も見てないよって言う人もいるけど。私は私を見てる。私の中のみっともないことを嫌う感情、誰かに素直に甘えるということ、もう大人なんだから自立して生きていかなきゃいけないと思うこと、できているはずなのに満足できない謎の餓え。

 

 

もちろん、冠婚葬祭とかいわゆるマナーがあるところはちゃんとしなきゃいけないの、わかってる。

でも日常は?人生は?

 

私はいわゆるなんちゃって優等生で、勉強したし成績も良かったけど、それは人生に波風たたせたくない気持ちからのものでした。

怒ることも泣くことも人前でしたくなくて、感情の起伏を感じさせることは、世間的に「みっともない」ことだと思ってきました。

でも明るくも社交的でもない自分のことは、結局、いろんなことが「ちゃんとしてない」から、嫌いでした。

 

この小説を読んで、以前親友が

「夕が自分のことあんまり好きじゃなくてもさ、私は好きなんやしさ、それでもよくない?」

って言ってくれたことを思い出しました。長い付き合いなので、私が怒ったところも感情がぶれて爆発したところも知っている親友。

私の大切な人が、「ちゃんとしてなくて、みっともない」私を見ても好きでいてくれるなら、それでもいいか。世間の、ちゃんとしてないやみっともないに縛られすぎて、ガチガチになるのをやめようと。

この本を読んで、そんなことを久しぶりに思い返して胸に書きとめました。

 

刺さる人には刺さる、きっとそんな小説です。