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夕空に背伸び

特技はフットワークの軽さの(24)。読書と旅行と音楽と写真が好きです。主に東海・近畿をうろちょろしています。

ホンノイッシュン あさのあつこ「ガールズ・ブルーⅡ」

ほんの一瞬、本の一瞬。

小説の中で好きだなと思った所から、本の紹介をしてみようという思い付き企画です。

第一弾はあさのあつこの「ガールズ・ブルーⅡ」です。

 

あらすじ

地方の落ちこぼれ高校に通う理穂も、3年生になった。まわりは着々と進路を決めていくのに、自分の未来はまだ見えてこない。成績のいいスウちゃんは家の事情で進学を断念したし、クール・ビューティーな美咲は病弱で、また入院。隣りに住む如月ときたら、今日も理穂の一家団欒に「うーっす」と現れチキンカツを頬張っている。ずっと一緒に育ってきた仲間たち。でも、覚悟して別々に動き出すべき時が迫っている…。前向きに、力強く一歩踏み出す彼らの夏。シリーズ第2弾!

Amazon 商品紹介より)

 

ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)

ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)

 

 

ガールズ・ブルー (文春文庫)

ガールズ・ブルー (文春文庫)

 

今回紹介するのはⅡなんですが、Ⅰもとてもよくて、青春の軽さと重さがすがすがしい作品なのでぜひ。あと表紙がめっちゃ好みです。この絶妙なさわやかさが好き。

 

本の一瞬

「聞いてて気持ちがいいやつ?」

「うん。気持がいいやつ。ふわっとしていて、さらりとしていて、べとつかないの」

ふわっとしていて、さらっとしていて、ふわっ、さらっ、ふわっ、さらっ……。

「羽毛みたいなの?」

あたりは幻の羽毛を受け止めるように、手のひらをひろげてみた。

「ビミョーに違うかも。羽毛って、鼻の孔に入ったりするとクシャミが出るじゃん。そんなんじゃなくて……」

美咲も手のひらを上に向ける。

ぼたん雪かな。ふわっとして、さらっとして、気持ちよく冷たいんだ」

「だって、雪なら融けちゃうよ」

 「融けて沁み込むんだよ」

(P159-160 ポプラ文庫版)

 

初めて読んだ時よりも大人になって読み返したときのほうが、ぐってきたこの場面。

「ただの普通の高校生」が言葉に対して鋭い感覚をもっているっていうのがとても好きで、しかもこの場面はただの日常的な会話の延長で、さらっとこういう会話ができる関係にもとても憧れました。

写真にとってそっと保存していたい場面です。

「気持ちいい言葉はぼたん雪」みたいって素敵な表現。

誰かにとって胸に響く言葉は沁み込んで、その人の心の大事な部分をつくっていくんでしょう。

そんな言葉を誰かにあげられるような人になりたいです。

 

写真に残したい小さなきらきらにあふれた小説

先ほども書きましたが、この小説はどの場面もそっと写真に切り取って残しておきたくなります。

一瞬ですぎる季節の切なさとか、高校生の時にしか出せないきらきらとか、そんな限りある時がみずみずしく切り取られた小説です。

そしてその中にはっとする場所がひそかに隠れているような小説でもあります。

ちょっと青春に帰りたくなった人に送りたい1冊です。