70冊から選ぶ2023ベスト7作
これだけは書かないと年を越せない年間ベスト本の記事をようやく書きました。読んだ冊数は全部で65冊と漫画が5冊。今日現在も読みかけの本があるからもしかしたら後2冊くらいは増えるかも。
全体的な傾向としては人文書系と日本の小説は少なめで海外文学を結構読んでいた気がする。韓国文学を特にたくさん読んだ年だったな。翻訳の感じなのか元からの表現がそうなのかは分からないけれど、ひたりとした静けさがある本が多い気がして、それが今の自分の気分にあっていた。
漫画
果ての星通信
普段は漫画をベストに入れないのだけど、これはすごく良かったので。
地球に住むマルコがとある理由で宇宙に飛ばされてしまい、そこから地球に再び帰れるように奮闘する物語。宇宙にはいろんな星があっていろんな人がいてその人たちそれぞれに事情があって、分かったり分かり合えなかったりするけど共に生きているっていうのがもうすごく自分好みでよかった。最初訳のわからないままに連れてこられてひねくれ反抗モードだったマルコが、だんだん周囲に馴染んでいいやつになっていく過程もまたいい。そしていいやつすぎない人間像も好きです。全体的に優しすぎない物語なのもまたたまらなくて、今4巻と5巻をざっと読み直していて泣いてしまった。
本
海をあげる
旅行先としての沖縄がただ好きな私に対して、見ないふりをしていた現実を静かにそっと突きつけてくれた一冊。そこで生きている人がいるからこそのあの景色だということを忘れてしまわないように、何度でも考えられるように、自分に杭を打つような気持ちで選んだ本です。
くるまの娘
どうしようもない現実に打ちのめされた本。正しいは分かりやすくて、でもその正しいになれなくても生きていかなくてはいけない苦しさが書かれていると思った。ラスト数ページの明るくて赤い春のイメージがまだ頭から離れない。
世界の家の窓から
コロナ&転職で旅に気軽に行ける環境ではなくなったのでとても沁みた。知らない国の知らない景色を少しでも見ることができて言葉にならないくらい胸がギュッとなった。自分の知らない所にも誰かの日常があるということがたまらなく愛しいしさみしい。旅行している時の日常と非日常の狭間の気持ちになれた一冊。
孤鷹の天
澤田瞳子の本は去年も一冊ベスト本にいれたけど、今年読んだこの小説も圧巻だった。前半なかなか話が進まないなと思っていたところからの怒涛の展開。ページを捲る手が止まらない、早く続きが読みたいと思う小説は久しぶりに出会った。文章も上手だし登場人物が魅力的で素晴らしい本だった。
死ぬまで生きる日記
読み始めて数分で、これってもしかして私のこと?と思うような、そんな身に覚えのある感情が書かれていた。もちろん全て一致するわけではないけれど、ただこういう気持ちになりながら生きている人がいるということを知られたのは大きい。
シソンから、
チョン・セランが世界を捉える目線が好きなのだと思う。自分が見ている世界と似たような現実が広がっていて、かつどこか刹那的。生きづらさというようなものに触れているけど、その中でも登場人物一人一人は淡々と生を続けていくという芯がある感じが良かった。
以上、2023年のベスト7作でした。相変わらず明るさとはほぼ無縁のラインナップだけど、さすがにこういう本が好みなんだなとわかってきた。来年もたくさんの本に出会いたい。