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53冊から選ぶ2021ベスト4冊

毎年恒例にしているのに、毎年滑り込みで投稿する今年のベスト本投稿です。読んだ総数は53冊。転職などでずっとバタバタしていて、ここ数年の平均冊数からほぼ半減という数になってしまいました。そんな中から選んだ今年のベスト本は4冊です。

 

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金持ちは、なぜ高いところに住むのか−近代都市はエレベーターが作った

昔の小説ではアクセスしづらい屋根裏部屋が貧しい人達の定番の居場所で、でも今は一番高層階にスイートルームがあって…という、いわれてみれば確かに!ってなっても気づかなかったこと書いてあってすごく面白かったです。読み終わったときは大学の講義1本受けたみたいな気持ちでした。昨年も思ったけど、日常に新たな視点をもたらしてくれる本が好きです。

 

あんぱん ジャムパン クリームパン

生き方が素敵だなと思っている校閲者の牟田さんと、文芸に関わる方二名の交換日記。ちょうどコロナが流行り出した時期からの皆さんのプライベートやお仕事のもやもやや近況が、交換日記というやや時間をあけてお返事がくる形式でシェアされていて、その時間のゆるやかさがなんだかとても良かったです。どうにもできないときでも、言葉にして他者に伝えることで何かふっと楽になったりすることってあるなあと思いました。

 

100分de名著 ブルデューディスタンクシオン

Kindleでセールをしているとつい買ってしまう100分de名著シリーズ。中でもこの本はとても考えさせられました。私達が自分で選び取ったと思っている趣味や好きな物は、実は環境によって規定されている側面もあるということ。私がこんなにも読書が好きなのも、小さい頃から読書を是とする環境に身をおいていたからかもしれない。生まれる場所は選べないのにそれである程度何かが決まってしまうということは、感覚としてはなんとなく分かっていても、文章にして読んでみるとすごく重く感じます。

 

パリの砂漠、東京の蜃気楼

エッセイでも読むかーと思って軽い気持ちで読んだら、とんでもない目にあいました。この本は刺さる人には本当に深く刺さってしまう本だし、その感覚が分からない人には何を言っているんだ?となるものだと思います。ただ私にはとても痛かった。自分が持っているものと全てが一致しているわけでは当然ないけれど、抱えている感覚を鋭く繊細に描写されていて、読んでいる間ずっとしんどくて、だからこそ忘れられない一冊です。

 

 

今年の4冊はあまり明るいものではないけれど、心に深く沁みていくものばかりでした。来年もたくさんの本に出会えますように。

 

昨年分はこちらから。

https://yjam026.hatenablog.com/entry/bestbooks-2020